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概要 1978年アルゼンチン、プエルトデセアードの入り江でこの地域だけに生息するイルカが捕獲され国外に持ち出されました。これをきっかけにマルコス・オリバ・ダイ(Marcos Oliva Day)、妻のマリア・ラウラ・ガオナ(Mari´a Laura Gaona)、航海クラブ『キャプテンオネット』の会員のイニシアチブによって”Conociendo Nuestra Casa” (『コノシエンドヌエストラカサ』(=自分の町を知ろう))というNGOの活動が始まりました。 この活動はカヤックやヨットなどのマリンスポーツ、教育、そして奉仕活動の機会をこの町に住む子供や若者に提供します。これを通じて彼らは自分の町のことを学び、愛、尊敬、団結、無差別、指導力といった価値観を成長させ、それらを毎日の生活の中で実践できるようにします。 屋内での授業を通じて子供たちは自分の住む町の歴史、地理、動植物の生態などの知識を深めます。その他にも設立者であるオリバ・ダイ氏の専門である政治学、環境学、地方自治、民主主義といった政治に関する基本的な事柄も学びます。 9月から4月上旬(日本の春夏に相当)にかけて航海クラブのそばの海辺で子供たちはカヤックやヨットを練習します。そして入り江の中に点在する島まで漕いでいき、ペンギン、アザラシなどの海洋動物を間近かに観察します。 またこの団体が行う様々なボランティア活動に子供たちは積極的に参加して、この町を始めとしてアルゼンチン、チリの他のパタゴニア(南緯40度以南の地域)の地域社会に貢献しています。 歴史 アルゼンチン、パタゴニアのサンタクルーズ州。近隣の町まで200キロ離れた大西洋に面する小さな町、プエルトデセアード。1978年に起こったアルゼンチン政府と州から許可されたという日本の水族館の業者が、町の南を流れるデセアード川からイロワケイルカ4頭を捕獲しました。イロワケイルカは南部パタゴニア地方、フォークランド諸島でしか見ることができない珍しい種類のイルカです。この動物の生態系を何も調査せぬままに日本の業者に捕獲の許可を与えた国と州政府にオリバ・ダイ氏は憤りを感じました。地元住民も手をこまねいて、ただ事件が過ぎるのを待っているばかりでした。このことからからオリバ・ダイ氏が感じたのは下記のことです。 “No se puede querer ni cuidar aquello que no se conoce. “ 町の住人は自分たちの身の回りの素晴らしい自然に対してあまりに無知、無関心でした。それを憂慮したオリバ・ダイ夫妻は、自分の住んでいる町に対する愛情と帰属心を子供や若者の心に育もうと1983年、『尊敬と愛』(respeto y carino)をモットーとするこの活動を始めました。 70年代までは羊の畜産が主要であったこの町の産業は、港の建設、水産関連の工場の設置によって水産業へと移行していきました。それに伴い1980年代前半には3500人あまりだった人口は、2001年の統計によれば10237人、2008年現在では、2008年現在では、四半世紀前の4倍以上とも言われる15000人にまで増加しました。この町に外から移住してきた人が増えたことによりこの町に移り住んだ人が増えたことにより、町はアイデンティティーを失い、暴力やドラッグといった新しい社会・地域問題が起こりました(サンタクルーズはla Secretari´a de Programacio´n para la Prevencio´n de la Drogadiccio´n y la Lucha contra el Narcotra´ficoの2008年公式データによると全州の中でもっともドラッグの使用率が高い州です)。従ってモットーである『尊敬と愛』はこの町の自然だけでなく地域社会に対しても向けられています。 1983年の開設当初は、航海クラブ『キャプテンオネット』の協力の下、マリンスポーツを中心に子供たちを指導していましたが、1986年モニター制度(モニターとは子供たちを教える生徒たちを指します、詳細はプログラムを参照)が導入され、それ以降この団体は町の全小学校4年生を教えることが可能になりました。 そして十数年の年月を経て2003年、団体はNGOとして活動を始めます。2006年にはイギリスの北アイルランドで開かれたCeltic Maritime Festival of the Sea(伝統的ボートの祭典)に招待されました。またオックスフォード大学でも団体の活動を紹介しました。近年は他のパタゴニア地域で団体の紹介やカヤックの無料レッスンをするなど、徐々にプエルトデセアード以外の地域でも活動の場を広げています。 2009年には航海クラブの近くに多目的な施設が完成予定です。生徒の憩いの場になるだけでなく、将来は外国人がここを利用してボランティア活動をできることを目指しています。 問題点 設立25年を迎え、多くの住人がこれらの活動に参加するようになりました。この地域は経済的に苦しい家族も多いので、授業料やカヤックなどの使用料を生徒から一切受け取っていません。団体の活動は富くじや模擬店からの収益、町役場や漁業関連の会社からの寄付金でまかなわれています。しかし2001年のアルゼンチン経済崩壊以降、町役場や会社からの寄付金が大幅に減ってしまいました。 また、屋外活動を行えない冬の季節、インストラクターや生徒が集まれる場所がありません。この期間も活動を続けられるように多目的の施設を航海クラブのそばに現在建設中です。 |
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